壱。



僕の中の貴方が増えていって
貴方の中の僕の居場所が消える
やがて来る其の日を恐れずに待っていた

零の数

首を擡げ手足を伸ばしたまま
蒼い草の匂いだけ嗅ぎ続けている
弱い陽射しでは成長できないのを知って

零の色

膨らみすぎた貴方の頭は
満月よりも更に大きくなっていって
僕の手を翳すと簡単に砕け散った

零の影

生き急ぐ事を止める術を持たぬまま
結局は血だらけの貴方の足
点々を繋ぐと愛の形になる

零の温度

最後唯つになる日を片手に
貴方はやっぱり走っていった
思い出にもなれない未来を片手に
貴方だけが走っていった

僕は零になる