片道書簡に寄せて




貴方様が私にしたためたかも

真意として確認出来ぬ儘に

幾年と経ち

今では他人とされました

貴方様の真摯さ故に

天秤を使わなかったのだと

そう・・・思っております


私を選ばなかったのも

また貴方様らしいと

苦笑いに屈します


相変わらず皮肉な(本当は恥ずかしげな)笑顔を

浮かべながら邁進されて居りますでしょうか?

それとも年月により

屈託の無い笑顔をするようになったのかしら


…もしそうならば深層には

悔しがる私が居たりします


血の気の無い私は

一日一日を死に向かって

腐蝕してゆくのが身に染みます

しかももう怖くさえないのです

泣く事さえ亡くしました


貴方様の故郷を

いつか独りで眺めに行きます

白く溶けられたらよい…


どうか御元気で

不器用な貴方様


決して忘れられてなど居りませぬ事を

誇示する私はやはり病気なんでしょう…